旅人の和歌帳 5

「私の旅日記」と併せて、ご覧下さい。

 錦糸町車窓に映るスカイツリー温きお茶飲む夏の朝かな
 夏空に秋の蜻蛉稲穂かな
 摘み立ての苺の味はキスの味甘い昔の思ひ出浮かぶ
 成熟の赤いイチゴの接吻し酸いか甘いか素の姿問う
 成東の春の便りは菜の花と甘く色付くハウスのイチゴ
 未だ知らぬ向こうは何かと水平線ぼやけて見えぬ小も知りたし
 たい焼きの湯気に咽ぶや青朝顔
 紫陽花や徒花咲きぬ炎天下
 板塀に止まりて啼く蝉佐原かな
 蝉時雨早稲の稲刈り秋の歌
 七輪の煙が躍るビヤガーデン暮れ行く名古屋に杯傾ける
 仕事中華やかなステージ仕切りつつ華やかに酔ふガードマンかな
 稲刈りと汗拭く農夫土岐の郷
 東濃や彩る陶器田の色も
 五平餅歩いて頬張る馬籠宿焼売抓む姿如何にぞ
 夏の服纏ひて馬籠秋の風
 馬籠から山奥の郷垣間見る外れた民家の秋の暮らしを
 マイアミや今年で終わるビヤガーデン新たに粧ふその日指折る
 通勤に紛れて座る旅姿素なれど豪華モーニングかな
 自由席探し求めて徒競走名古屋駅での運動会かな
 一人旅吹かれて見送る芒かな
  秋桜に秋の赤色奪われて枯れ時待つ身彼岸花かな
 喜劇王柳葉吹かれる秋の下呂
 鈍行に揺られ揺られて鰻食ふ撮る間逃すな秋の飛騨川
 天日干し傍らの柿熟れを問ふ
 昼餉時鉄路で巡る飛水峡ウトウトし掛ける時こそ貴重


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