旅人の和歌帳 4

「私の旅日記」と併せて、ご覧下さい。

 命日に揃ひし供物如月の家族別れて我一人なり
 訪れて供えし花の鮮やかさ別れし身内の無事を認める
 そば啜る動く目春や梅まつり
 紅梅や残され寒し枯れ芒
 紅白の梅で春知る平和なり
 梅咲けどゾロゾロ歩きは嫌いなり
 鹿島灘水戸で憧れ乗る列車遥なる灘黄昏の帰路
 黄昏れて山間貫く一本道街は近けど歩けば遥か
 藤野駅名に相応しき藤棚の晴れし青空似るや藤色
 列車にて菓子の餅食う笹子かな山道嶮しき苦労は余裕
 残雪や卯月の暦は未だ冬
 諏訪の街温泉が湧きて湖の雄々しき姿に旅人立ち寄る
 湖の開きし春に鴨泳ぐ諏訪湖の辺の幼き姉妹
 遊覧船景色に飽きてあやとりの糸を引っ張る幼児の心
 奈良井宿飛脚の如く燕かな
 双六の歩みで巡る奈良井宿疾風の燕も倣ひし双六
 東京には無かりし爽快松本にあり静かな駅で聳ゆる残雪
 新緑や木漏れ日愛でる外宮かな
 青葉映えせせらぎ麗し五十鈴川飲みし深煎り苦みも貴し
 時計見て忙しく啜るかけそばの様みて笑う熊野の朝かな
 名古屋駅コインロッカー空きは無し大型連休勢いを知る
 堀川口橋を通る貨物無し廃り知らずに跳ね上げて待つ
 日常の生活断片各々の非日常の我が娯しむ
 突かれて項払いし松葉かな
 二条城修学旅行とすれ違い18年前のその我と会う


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