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千葉港観光船での一首。
観光船に乗船していたら、訳もなく、ふと今まで出会った女性を回想してしまった。しかし、幾ら回想しても、それは旅人の遠い懺悔に過ぎず、その女性が舞い戻ってくる訳でもない。その回想を縁から飛ぶ飛沫が打ち砕いて、今現在を一生懸命に過ごせと発破掛けているかのようだ。
参考文章 観光船で3つ目の娯しみを見付けて |
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金網に囲まれ窮屈展望台行きし港も遠き街並み
見渡せば工業港と市街地の近くの森林安らぐ田園 |
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亥鼻公園の千葉城での二首。
千葉城の天守閣に、展望台があるが、何と落下防止の金網が設けられている。その金網に囲まれた展望台は何とも窮屈で、隔離されている雰囲気が強い。その所為で、立ち寄った千葉みなとも何処か遠い街並みに感じる。
その展望台をグルッと回る。工業港と市街地が見えるが、市街地の近くに森林が見えた。人工物が溢れている市街地にあって、気が安らぐ田園地帯が間近にあるのだ。
参考文章 22年前の面影を求めて |
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亥鼻で葛餅頂くお望みの桜吹雪が皿に降りたり
満開の桜を愛でど散り気味の風流愛でる日本人かな |
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亥鼻公園での二首。
袂にある茶店で葛餅を頂くことにした。近くに桜が咲いていたので、上手く行けば桜吹雪に出会えるのかなと期待していたら、見事桜吹雪に出会えた。しかも、桜の花弁が上手く葛餅の皿に降りてきたのだ。嗚呼、何て風流なのだろう……。
満開の桜を愛でるのだが、同時に散り気味の桜も愛でる。二つの風流を娯しむ我ら日本人である。
参考文章 桜吹雪の陶酔 |
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浜野へ向かう内房線車内での一首。
時間帯、学校から帰る高校生が車内のあちこちで見掛けた。高校生は沿線に咲く桜に何ら関心を持たずに、スマートフォンを操作していたり、友達と談話を交わしていた。しかし、何時も見ている何気ない光景が、何時か自分自身の思ひ出になるのだ。
参考文章 蘇我駅の貨物列車 |
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蘇我駅で時間調整カツ丼を頬張る平日あな贅沢なり
非日常の旅の食事は如何なれど極めし贅沢一人微笑む |
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蘇我駅での二首。
千葉みなとにある千葉ポートタワーで夜景を観る為に、蘇我駅に戻ったが時間が早過ぎる。そこで、蘇我駅で時間調整を取ったのだが、空腹だったので此処でカツ丼を頂くことにした。しかも、平日。自然と贅沢感が漂ってくる。
今日は何ら日程が決まっていない旅の途中。謂わば、非日常の日。その日に頂く食事はどうであろうとも、時間に束縛されていないので、贅沢に感じられる。その贅沢感に、思わず微笑んでしまう。
参考文章 カツ丼抓んで貨物列車観賞 |
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千葉ポートタワーでの一首。
外灯がまるで燦めく宝石の如く見える夜景。その夜景を撮ろうとすると、どうも見た通りには撮れない。夜の帳にその宝石が守られて、何を行っても取れない遠い存在だからこそ、キラキラ輝いているのだ。
参考文章 ポートタワーで観る夜景は? |
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冒頭から、いきなり俳句でご挨拶した。というのも、夏の暑さが苦手で、早々に夏バテを引き起こしたのだ。夏バテは霍乱ともいう。
霍乱に罹ってしまい、あらゆることが長く続かないのかと、変な悟りを得るのではと気を憂う私である。
参考文章 霍乱を抱きて赴く旅路かな…… |
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四方津付近での一首。
四方津付近になると、進行方向左側に桂川が見える。その桂川に朝釣りをする人がいた。その光景を見ながら、到来物の梨を美味そうに囓っている乗客がいた。周囲は山に囲まれているので、時期になると紅葉が綺麗なのだろう。その頃が待ち遠しく見える。
参考文章 霍乱を抱きて赴く旅路かな…… |
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梁川付近での一首。
鈍行列車に乗っていると、各駅毎の情景が目の当たりにできる時間が長いので、色々なことが思い巡らせられる。特に甲州街道沿いの梁川付近は、旅籠が建ち並んでいた。車窓からだと、賑やかだった往来は影を潜め、早朝の人通りが少ない鄙びた甲州街道が見えるだけ。
参考文章 霍乱を抱きて赴く旅路かな…… |
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大月駅での一首。
此処で通学途中の高校生を見掛けた。その初々しい姿に思わず、頬が紅くなった。そう言えば、私もこういう時があったのだ。しかし、遠き昔のこととは思えない。ほんの数年前のことかと、今でも思うのだ。
参考文章 霍乱を抱きて赴く旅路かな…… |
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