旅人の和歌帳 8


 図らずも旨い伊賀肉再会すすき焼きの湯気に涙溢れる
 伊賀牛のすき焼き屋での一首。
 お目当ての洋食屋が休業日で、何処で昼餉を摂ろうかと思って、その店に立ち寄ったら、開店していた。全く、予定していなかった2000年8月以来の伊賀牛のすき焼きとの再会ができた。その再会に、すき焼きの湯気でも涙が溢れてしまう。

 参考文章 18年振りの伊賀牛のすき焼き
 伊勢牛と松阪牛と伊賀牛と食べ較べする贅を超す贅
 伊賀牛のすき焼き屋での一首。
 かの松阪牛や神戸牛を越える味わいが魅力の伊賀牛を頂いた。その1箇月前に、伊勢牛の牛鍋と松阪牛の牛鍋を頂いて、贅沢を味わったと言うのに、今度は伊賀牛のすき焼きを頂いて、食べ比べすることになってしまった。果たして、どちらが旨いか、3種類の名牛肉を食べ比べするとは。まさに贅沢の上に贅沢を載せる行為だ。

 参考文章 18年振りの伊賀牛のすき焼き
 その贅は心療内科の常備薬取り出す時こそ夢が醒めども
 伊賀牛のすき焼き屋での一首。
 この1箇月で、伊勢牛と松阪牛と伊賀牛と3種類の名牛肉を頂き、贅沢を堪能した。しかし、心療内科の常備薬を服用する時、その贅沢が形を潜めて、今置かれている痩身に溜息付いてしまう。

 参考文章 18年振りの伊賀牛のすき焼き
 蛤を食わずに通れぬ桑名宿抓む野点に躑躅咲きたり
 桑名寺町三八の市での一首。
 桑名名物焼き蛤。それを頂かずに、此処を発つ訳にはいかない。その店の野点に座って、焼き蛤を頂いた。丁度、野点に躑躅が咲いていた。

 参考文章 遅かった朝市
 買う物も無くて漫ろで素通りすその脚止める焼き団子かな
 桑名寺町三八の市での一首。
 朝市に来るのが遅く、何も買う物が無く、漫ろ歩き。しかし、その脚を止める程、人だかりしている餅屋を見付けた。お目当ては、近くで焼いている焼き団子。

 参考文章 遅かった朝市
 青空と若葉を纏うサンルーフ
 六華苑での一句。
 2階のサンルーフに入ると、丁度、若葉と青空が見えて、目に目映い光景だった。

 参考文章 六華苑の2階に上がると……
 華々しきコスプレ娘を撮るカメラ高性能で悄気るデジカメ
 華々しきコスプレ娘撮る時は素人玄人変わらぬ華撮る
 大須赤門通りでの一首。
 コスプレパレードが始まる前、多くのカメラマンが集まって、お気に入りのコスプレイヤーを撮っていた。私も混じって撮っていたのだが、よく見ると、カメラマンのカメラが凄いレンズを携えていて、それも何台も持っている。それに較べると、私のデジタルカメラは高性能ながら、迫力負けしているようだ。だけど、私のような素人でも、カメラを何台も持っている玄人でも、コスプレイヤーから放つ華を撮る気持ちは、何の変わりは無いのだ。

 参考文章 縁日とコスプレパレード
 陽春のコスプレパレード世は平和銃も剣も盛り立てる武器
 大須赤門通りでの一首。
 この日は縁日で、コスプレパレードが始まろうとしていた。色々なキャラクターが揃う中、コスプレ上機関銃を持ったり、剣を持ったりしたりするコスプレイヤーもいた。しかし、それは人を殺す武器ではなく、雰囲気を盛り立てる為の武器であるのだ。そんな平和な日本を象徴した一首だ。

 参考文章 縁日とコスプレパレード
 メイドカフェ大人の扇子で顔隠す粋人気取りの独身貴族
 メイドカフェでの一首。
 このメイドカフェは英国風で、落ち着いた雰囲気がいい。そんな中、扇子で顔を隠しながら店に入り、メイドの挨拶を受けたら、スッと顔を出す粋人気取りの独身貴族がいる。

 参考文章 メイドカフェでの粋人
 メイドへの川越土産手渡せず冊子残して旅立つ旅人
 行き付けのメイドカフェでの一首。
 何時もなら、小江戸川越の土産を手渡し、都心とは違う小江戸川越というワンダーランドを印象付けるのだが、今回は持ち合わせが無かった。仕方なく、小江戸川越の観光案内の冊子を残して、スッと去った。

 参考文章 メイドカフェでの粋人


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