プロフィール
祇園祭 勝山髷結髪 祇園つね桃 2017
有職美容師の仕事は日本の歴史上の髪型を、すべて頭に入れ、それを再現できることにあります。今は髪型やスタイルを写真にしたテキストも沢山ありますが、私の時代にはそんな便利なものはありません。自分の記憶と、先代が残してくれた一部の雛型だけが頼りでした。
この仕事は何十年という月日をかけなければ一人前にはなれません。すべての技術を見習い、覚えることはもちろんですが、その時代の人々の生き方や願い、そこから生まれた髪型の意味を知らなければなりません。美しくありたいと願う時代に生きた女人の思いが髪型や髪飾り、化粧にあらわれています。髪を何度結っても100%はありません。その人の気持ちに寄り添って櫛を持ち続けたいと思っています。そして心身共により美しく生きるという心を大切にしながら、次の世代にこの仕事の価値と技、そしてヒト、モノを大切にする日常を伝えていきたいと思っています。一生勉強です。
有職美容師 南 登美子(大林登美子) 1928年(昭和3年)2月2日生
■プロフィール
1928年(昭和3年)京都生まれ。祇園に店を構える創業1888年(明治21年)のミナミ美容室3代目代表取締役。2017年に日本で唯一の「有職美容師(ゆうそくびようし)」の称号を授与された。本名 大林登美子 先代からの屋号姓である「南 登美子」を仕事名としている。
髪を後ろに垂らして結う「垂髪(すべらかし)」や、芸舞妓の「島田」や「勝山」など日本伝統の髪型を結い上げる有職美容師として活躍。150種類以上の多様な日本髪の結髪に加え、各時代の装束にも精通し、結髪・着付け・化粧に関する高度な知識と技術をもってその伝承に努めてきた。長年にわたり伊勢神宮祭主結髪・着付けを担当し、平成25年10月での伊勢神宮式年遷宮での池田御祭主、黒田臨時御祭主(現祭主)の結髪・着付けの奉職を果たすとともに、祭主としての黒田清子御祭主の担当を拝命し、天皇の御退位に係る奉職を務めた。平成31年4月に伊勢神宮祭主担当を退任し直系の後継者へ任を託した。
また、上賀茂下賀茂神社祭礼である葵祭(あおいまつり)において、先代より斎王代結髪・化粧を担当している。また、平安神宮祭礼、京都市民参加の時代祭においては皇女和宮をはじめとする結髪・着付けを現在も担当している。
さらに京都美容文化クラブ会長として、これまで美容業に携わるものが技術の研鑽と櫛への感謝を込めた祭典「櫛まつり」を先代師匠から継承・発展させている。令和元年9月には第59回祭典を挙行し、文化クラブ員が技術の研鑽を積んできた古代から現代までの結髪と着付けを行い、時代考証に基づいた各時代風俗姿で祇園界隈を練り歩く。全国に在籍する会員へその意志と技術の伝承に努めている。
■現在の主な役職
京都美容文化クラブ会長、葵祭保存協会理事、京都美容専門学校監事、京都美容組合教育部宗師
■拝命職
両陛下退位前伊勢神宮参拝の儀 黒田清子祭主結髪・着付け
伊勢神宮祭主結髪・着付け(昭和天皇皇女:鷹司和子様・池田厚子様、上皇皇女:黒田清子様)
伊勢神宮式年遷宮祭主結髪・着付け
葵祭斎王代結髪・着付け・化粧
時代祭皇女和宮結髪・着付け
甲賀市土山 斎王群行斎王代結髪・着付けおよび全体監修
■褒賞(直近)
上皇后美智子さまより「下賜」2019年7月(令和元年)
文化庁長官表彰 2019年12月(令和元年)
厚生労働大臣表彰「現代の名工 卓越した技能者」 2018年11月(平成30年)
京都府優秀技能者表彰 2017年3月(平成29年)
■ミナミ美容室
■電話:075−561−2277
■代表取締役:南 登美子
■創業:1888年 明治21年
■所在地:〒605-0812 京都市東山区東大路松原上がる4丁目毘沙門町41
■問い合わせ:minami_12hitoe@yahoo.co.jp